皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
 さて、ミレーヌがあの第一王子と結婚したくない理由だが、それは彼が好みではないから、である。特に顔が。ついでにいうと、性格も。

 恐らく、皇子は可愛い顔をしているのだと思う。だけど、ミレーヌにとっては好みではない。もっとこう、男らしい、キリっとした顔立ちが好みなのだ。
 まあ、皇子もミレーヌのことをどう思っているか、もしくはミレーヌを認識しているのかどうかもわからないのだが、とにかくミレーヌはあの皇子が好みではない。それだけは事実。本音。

 というのも、父も兄も顔立ちが優しい。もしかしたら無いものねだり、なのかもしれない。キリっとした男性に憧れを抱く。可愛い、優しい男性よりも、男らしくキリっとした男性に。

 ついでにいうと、皇子の性格はなよっとしている。なよなよ系。あまりにもなよなよしていて、風が吹いたら飛ばされてしまうんじゃないかと、常々思っていた。

 そういえば以前、第一皇子が何かにつまずいて転んでいた。
 それを目撃した同年代のご令嬢たちが我こそはと群がり、「殿下、お怪我はありませんか」なんて、手を差し出していた。ミレーヌとしては、転ぶ前に踏ん張って欲しいところなのだが。

 そして、最後にもう一つ。
 そんな好みの問題とは別に、第一皇子の婚約者に選ばれてはならない最大の理由がミレーヌにはあった。
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