皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
再びミレーヌはくるりと向きを変える。
「でも、今は。同じ志を持つ仲間よね。それに……」
そこで一度、ミレーヌは言い淀む。
「私の数少ない友達だし……」
自分で言っても恥ずかしくなる。だけどそれくらい、ミレーヌにとって友達と呼べるような人物はいないのだ。
他の貴族との家の付き合いはあるけれど、それは上辺だけの付き合い。こうやって心から信頼できる友達はルネしかいない。そして、最近知り合ったシャノンと。彼女たちは裏表がない。変な探り合いがない。だからミレーヌも心からの付き合いができるのだ。
あの僻地で、ミレーヌが騎士見習いとして第五騎士隊と共に行動したとき、部下から慕われている兄がうらやましいと思った。騎士団の団員は平民出も少なくない。それはもちろん生活のため、と割り切っている者もいる。けれど兄は、貴族も平民も、一隊員として接している。そういう人になりたい、と常々思っていた。
「ミレーヌ」とその名を呼んだルネは、いきなり彼女に抱きついてきた。
「ミレーヌ、大好き」
「私も、ルネが大好きよ」
でもね、と続ける。「今は、シャノンの教科書をなんとかしないと」
「でも、今は。同じ志を持つ仲間よね。それに……」
そこで一度、ミレーヌは言い淀む。
「私の数少ない友達だし……」
自分で言っても恥ずかしくなる。だけどそれくらい、ミレーヌにとって友達と呼べるような人物はいないのだ。
他の貴族との家の付き合いはあるけれど、それは上辺だけの付き合い。こうやって心から信頼できる友達はルネしかいない。そして、最近知り合ったシャノンと。彼女たちは裏表がない。変な探り合いがない。だからミレーヌも心からの付き合いができるのだ。
あの僻地で、ミレーヌが騎士見習いとして第五騎士隊と共に行動したとき、部下から慕われている兄がうらやましいと思った。騎士団の団員は平民出も少なくない。それはもちろん生活のため、と割り切っている者もいる。けれど兄は、貴族も平民も、一隊員として接している。そういう人になりたい、と常々思っていた。
「ミレーヌ」とその名を呼んだルネは、いきなり彼女に抱きついてきた。
「ミレーヌ、大好き」
「私も、ルネが大好きよ」
でもね、と続ける。「今は、シャノンの教科書をなんとかしないと」