皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
☆☆

 ミレーヌが隊長室に駆け込む数分前に戻る。
 隊長室で、また事務仕事に追われているエドガー。そして同じくマーティン。隊長職の面倒なところの一つに、この事務仕事がある。
 業務計画なり、遠征予算なり、報告書なり、必ず何かしらある事務仕事。この時間、他の隊員たちは副隊長指揮の元、訓練をしているはずだ。

 何を思ったのか、エドガーが声をかけた。
「マーティン」

「何だ」

「何でもない」

 マーティンとエドガーの間には、ロビーの机がある。一つ空いている距離が、ちょうど良いのかもしれない。

「マーティン」

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