皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
「用がないなら、呼ぶな。今、計算が合わないのだ」

「ならば、それが終わってからでいい」

「いや、気になるから今、話せ」

 マーティンはペンを置き、立ち上がる。そして、飲み物を準備すると、一つをエドガーの机の上に置く。
 マーティンは自分の席に座らず、空いているロビーの席に座った。

「で、話とはなんだ?」

「ミレーヌは婚約しているのか?」

「誰と?」
 エドガーの問いに、すかさずマーティンは突っ込みを入れる。妹が婚約した、という話は今のところ聞いていない。

「それを私が聞いているのだが」

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