皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
「残念ながら、そう言った話は今のところ聞いていないな」
 そこでマーティンは飲み物を一口飲む。

「では、その……。学校の中で気になる人がどうのこうの……という話は」

「そういった話も聞いたことはない。そもそも、ミレーヌには友達が少ない。あの騎士科ではそういった話にもならんだろう。好きなヤツができたらさっさと連れてこいと言っているのに、その気配すらない。このままでは卒業パーティのエスコートの相手さえも決まらない」
 なんだか、マーティンの愚痴が始まってしまった。

「それでエドガー。君はミレーヌのことをどう思っているのだ?」
 とマーティンが問いかけた時「マーティン隊長」と、勢いよく扉を開けた少女がいた。

 ミレーヌだった。顔を真っ赤にして、息はあがっている。校舎から走ってきたのだろうか。あの校舎からここまでは、わりと距離がある。その距離を走るには、それなりの体力の分配をしなければならないが、そんなこともお構いなしで急いで来たのであろう。

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