皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
 ミレーヌの話では、誰かが立ち入り禁止の屋上に立ち入ったらしい。マーティンが勢いよく隊長室を飛び出し、呼吸を整えたミレーヌがその後を追った。その後ろをエドガーが追いかける。

 ミレーヌは再び全力で疾走。先に隊長室を出た兄が、校舎脇にいた。

「ミレーヌ。シャノンはどこに?」

「あそこです」と弾む息をなんとか抑え込みながら、ミレーヌは屋上を指差した。

 ――ミレーヌ、お兄様をあの下に連れていって。エドガー隊長は、屋上に。

 天の声が指示をする。

「お兄様、シャノンが落ちたら大変です。あそこの下で待機していましょう」

「そうだな。もし、彼女が落ちてきたとしたら、なんとかしよう」

 マーティンがそう言うものの、それは絶対に起きてはならないことだとミレーヌは思う。

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