クールで無口(大嘘)な白井くんは愛が重い
*
「知り合いにくらいなってあげたらよかったのに」
「あれだけ話して知り合いになれないなら、もうなれないでしょ……。なりましょうよって言ってなるものでもないと思うし」
「ふぅん」
「あと、なんか……その。なってあげる、って思うの、いやだったから」
仁乃、変なとこで律儀だよね。香織はそうわらって、ぴっと廊下を指さした。
「……え?」
「いるけど、あんたを待ってんじゃないの」
「えっ」
「ほら、まわりの女子たちは恐れ多いって感じで逃げてるし、そのひとたちのことは捕まえないし。あんた待ちでしょ」
思わず立ち上がってしまって、机にばん! と手をつく。うつむいてしばらく考えたけれど、わからない。ついにはそこそこに大声を出してしまった。
「なんで!?」
「一目惚れってやつ?」
「わたしのどこにそんな要素があるの」
「ないよね、不思議」
「……怒るよ」
「理不尽じゃない?」