悪役令嬢は騎士の腕の中で啼く――婚約破棄したら、爵位目当ての騎士様に求婚されました――
3 おにいちゃんには こうかが ない みたいだ……
騎士団の詰め所、シルヴァお兄ちゃんが働く執務室にて――。
朝から城とは別方向に向かっているのはどうしてなのか、彼に尋ねたところ――。
長身痩躯のお兄ちゃんから、私は壁際に身体を追い詰められていた。
「あっ……んんっ……はぅ……お兄ちゃんっ……」
まるで、何かを誤魔化すかのように、彼は私へ愛撫をはじめたのだ。
くちゅくちゅと舌同士を絡まされていると、大きな手で覆われた胸をぐにゅぐにゅと変形させてくる。
「リモーネ……」
そのままドレス越しに、硬くなった胸の先端をきゅっと摘ままれ、くにくにと動かされた。
「ひああんっ……!」
「俺のリモーネ……お前は、可愛い声で啼くな……」
彼の左手がスカートの裾から侵入して、太腿を撫ぜはじめる。
「ああっ……」
全身に快感が走っていくが、それになんとか私は抵抗しようとした。
「おに……ちゃっ……はぐらかさないでっ……ひゃあっ……!」
だが、彼の攻撃は止むどころか激しさを増す。
スクエアネックの襟元を胸下まで引きずり降ろされてしまい、ふるりと小ぶりの乳房が二つ顕わになってしまった。
ぴんと尖ってしまっている紅い果実を、シルヴァが食んだ。
そのまま彼の舌がちろちろと動くものだから、ぞくっと全身に快感が駆け抜ける。
秘めたる部分から、じわりと愛蜜が溢れはじめた。
「こ、これ以上は、だ、ダメっ……し、しごと、中でしょっ……」
私はなんとか両手で、シルヴァの短い銀色の髪をぎゅっと掴んだ。
なんとか引きはがそうとしたものの、大の男の――騎士として腕を上げている彼を引きはがせるはずもない。
先端を舐められている間に、彼の指がショーツの割れ目に忍び寄ってきた。
「リモーネ……もう濡れてるな」
「お兄ちゃっ……ひゃあっ……」
こういう情事の際には、少し饒舌になるシルヴァの言葉に恥ずかしさを禁じ得ない。
(と、とにかくどうにかしなきゃ……!)
このまま快楽に身を委ねたい気持ちもあるが、他の騎士が来たりした時に、彼の仕事の評価を下げかねないと、心を鬼にした。
「お兄ちゃんっ……!」
「どうした、リモーネ?」
「ひゃあんっ……!」
だが、彼の舌先が突起をぺろりと舐めてきたので、身体がびくんと反応してしまう。
(が、頑張らなきゃ……!)
ぐぐっと、彼の短い銀の髪を掴む手に力を込めた。
「離れて、シルヴァお兄ちゃんっ……」
「どうした、リモーネ……?」
「離れないと――」
私は大きく息を吸い込んだ。
「――もう、お弁当はなしです!」
叫ぶように告げると、シルヴァの顔が胸元から離れる。
急いで、ドレスを私は整えた。
「リモーネ……そんな……」
表情に乏しいシルヴァだが、私には分かる。
(――お兄ちゃん、相当ショックを受けてる……!)
すると――。