【書籍化】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック2巻発売中】
「あのっ……とりあえず出してください」
泣いているイジェマと共に乗り込んだスイレンの指示に従って馬車は動き出した。両手で顔を覆って嗚咽を漏らしながら泣いてしまっている。スイレンは背中をさすってどうにか彼女が落ち着くまで辛抱強く待った。
「すみません。余計なことかと思ったんですけど……あの場所にそのまま貴女を置いて行けなくて」
ひとしきり泣くのを待った後、そう声をかけたスイレンに泣き伏せていたイジェマは振り向いた。涙でいっぱいの大きな青い目が見返している。どこをどう切り取っても、どんな表情をしても彼女は美しいんだなと変なところで感心してしまう。
「……あなた、リカルドの……」
「えっと……その、本当に偶然……通りかかったんです。そうしたらそのイジェマ様に似た声が聞こえたので……」
慌ててしどろもどろに状況を説明するスイレンに、イジェマは嗚咽しながら涙を流した。美しく華奢な彼女が涙を零すと、自分も同性だがどうにかしてあげたいと思ってしまう。
「あの、先程の男性は……?」
泣いているイジェマと共に乗り込んだスイレンの指示に従って馬車は動き出した。両手で顔を覆って嗚咽を漏らしながら泣いてしまっている。スイレンは背中をさすってどうにか彼女が落ち着くまで辛抱強く待った。
「すみません。余計なことかと思ったんですけど……あの場所にそのまま貴女を置いて行けなくて」
ひとしきり泣くのを待った後、そう声をかけたスイレンに泣き伏せていたイジェマは振り向いた。涙でいっぱいの大きな青い目が見返している。どこをどう切り取っても、どんな表情をしても彼女は美しいんだなと変なところで感心してしまう。
「……あなた、リカルドの……」
「えっと……その、本当に偶然……通りかかったんです。そうしたらそのイジェマ様に似た声が聞こえたので……」
慌ててしどろもどろに状況を説明するスイレンに、イジェマは嗚咽しながら涙を流した。美しく華奢な彼女が涙を零すと、自分も同性だがどうにかしてあげたいと思ってしまう。
「あの、先程の男性は……?」