【書籍化】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック2巻発売中】
恐る恐る聞いたスイレンにイジェマは、取り出したハンカチを握りしめて自嘲するように泣き笑いをした。
「私の恋人……ううん、もう、元恋人なのね……ジャック・ロイドよ。彼は近衛騎士なの……リカルドと婚約解消したと報告したらいきなり……怒り出して、そのまま別れを告げられて捨てられたの……」
スイレンは自分の眉が寄るのを感じた。それは、あんまりなのではないだろうか。この様子からしてもイジェマはジャックと呼ばれていたあの美しい青年のことを本気で好きだったのだ。だから英雄と呼ばれ誉ある竜騎士であるリカルドとの婚約を解消してでも彼と添いたかったのではないのだろうか。
言葉を無くしてしまったスイレンを見て、イジェマはまたぽろぽろと涙を流しながら言った。
「……このままでは家に帰れないわ。貴女、リカルドの家に住んでいるんでしょう? ……お願いだから、彼に会わせて欲しいの」
スイレンは胸にズキリと痛みが走ったのを感じた。
妖精のような容姿を持つこの人が、もう一度リカルドに興味を持つのではないかと思ってしまった自分が、どうしても消せなかったから。
「私の恋人……ううん、もう、元恋人なのね……ジャック・ロイドよ。彼は近衛騎士なの……リカルドと婚約解消したと報告したらいきなり……怒り出して、そのまま別れを告げられて捨てられたの……」
スイレンは自分の眉が寄るのを感じた。それは、あんまりなのではないだろうか。この様子からしてもイジェマはジャックと呼ばれていたあの美しい青年のことを本気で好きだったのだ。だから英雄と呼ばれ誉ある竜騎士であるリカルドとの婚約を解消してでも彼と添いたかったのではないのだろうか。
言葉を無くしてしまったスイレンを見て、イジェマはまたぽろぽろと涙を流しながら言った。
「……このままでは家に帰れないわ。貴女、リカルドの家に住んでいるんでしょう? ……お願いだから、彼に会わせて欲しいの」
スイレンは胸にズキリと痛みが走ったのを感じた。
妖精のような容姿を持つこの人が、もう一度リカルドに興味を持つのではないかと思ってしまった自分が、どうしても消せなかったから。