【書籍化】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック2巻発売中】
 スイレンの書類を彼女の生まれた国であるガヴェアに取りに行った帰り、ふと思いついて南国へと進路を取った。思いのほか辺境の役所での手続きが早くに済んで、自分の休みが余ったからだ。

 ガヴェアは戦争が終わったとはいえ、ヴェリエフェンディとはあまり仲がよろしくない。そんな場所に長居するのは、賢い選択とは言えなかった。

 檻の中で見せてくれたあの派手な花の花畑を見せたら喜ぶんじゃないかと思った。声を上げて喜ぶスイレンを想像すると、リカルドは柄にもなく、顔がにやけるのを止められなかった。

「リカルド様、どこに行くんですか?」
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