【書籍化】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック2巻発売中】
花娘×雪乙女 crossover
今回こそは、と思って、門衛の人に道順をきちんと説明してもらって、その通りに歩いて辿り着いたその部屋の大きな扉をノックして、しばし待っても何の反応もない。
スイレンは首を傾げてどうしたものかと悩んだ。
その繊細な模様のある、存在感のある黒茶色の扉をじっと見つめた。
それ自体が大きな芸術品のようなヴェリエフェンディの王城は、その内部も贅が凝らされた造りだ。細かいところにも装飾が施され、なんとも美意識が行き届いている。
(誰も……いないのかな……どうしよう)
リカルドの忘れ物を見つけたのは、彼がもう仕事に出てしまった後のことだ。
家に持ち帰って処理していたはずの仕事の書類を朝食を終えたばかりの食卓に忘れていたのだ。昨夜からワーウィックは竜舎で過ごしていたから朝はいなかったし、テレザは休みの日だから、二人だけしかいなくて、付き合ったばかりの二人しかいないと、どうしても甘い空気になるのは仕方なかった。
出掛けて行く時もリカルドは何度も優しいキスをくれて名残惜しそうに去っていってしまったから、いつも仕事に関してはきっちりとしている彼らしくなく書類を忘れてしまったのだと思う。
スイレンは首を傾げてどうしたものかと悩んだ。
その繊細な模様のある、存在感のある黒茶色の扉をじっと見つめた。
それ自体が大きな芸術品のようなヴェリエフェンディの王城は、その内部も贅が凝らされた造りだ。細かいところにも装飾が施され、なんとも美意識が行き届いている。
(誰も……いないのかな……どうしよう)
リカルドの忘れ物を見つけたのは、彼がもう仕事に出てしまった後のことだ。
家に持ち帰って処理していたはずの仕事の書類を朝食を終えたばかりの食卓に忘れていたのだ。昨夜からワーウィックは竜舎で過ごしていたから朝はいなかったし、テレザは休みの日だから、二人だけしかいなくて、付き合ったばかりの二人しかいないと、どうしても甘い空気になるのは仕方なかった。
出掛けて行く時もリカルドは何度も優しいキスをくれて名残惜しそうに去っていってしまったから、いつも仕事に関してはきっちりとしている彼らしくなく書類を忘れてしまったのだと思う。