ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う

　にこやかに笑いながら物騒なことを言っているその明るい金髪の人のすぐ後に、やって来た大好きな赤い髪の人を見つけて微笑む。

「リカルド様」

　その姿を見て安心して嬉しそうにするスイレンを見て一瞬優しく微笑むと、自分の恋人に近づこうとしていた三人を威嚇するように睨んだ。

「スイレン！　なんでここに？　先輩達、俺の恋人に何か用があるなら、俺を通してください」

　剣呑な光を秘めたその茶色い目は怖い。しごかれていたという言葉通りに厳しい鍛錬のすぐ後、自分たちを見つけて慌てて来たのか、二人とも上半身裸だし、汗で濡れていた。何かで拭かないと風邪を引いてしまうとなんだか場違いなことを思ってしまう。

「リカルド様……あの、汗が……」

　そう言って苦手な生活魔法を使って、近くに居る二人の大きな体にある水分を乾かした。ちょっとまだ濡れているかもしれないけど、さっきよりだいぶマシなはずだ。

「ああ、ありがとう」

　戸惑うように言ってから、リカルドはスイレンをゆるく抱きしめた。先ほどまで纏っていた汗のせいか彼の匂いをいつもより強く感じた。