【書籍化】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック2巻発売中】
スイレンは首を傾げて精一杯の笑顔で微笑んだ。厳しい状況下に置かれた彼女にとって優しくしてくれる人は貴重で、だからこそ笑った顔を見せていたかった。
「スイレンの売る花は長持ちするから、店の中は花だらけだよ。今日も頑張りな」
花を持った女将さんに手を振って別れると、大きな花の入った籠を持ち、スイレンは籠の底に小袋で種類別にしている花の種を覗き込んだ。まだ花を追加することもないとは思うけれど、今日は何故か人出が多いみたいだから少しでも多く売れると良いな。そんなことを思いながら、王都中央にある広場へと歩いた。
広場には人が何故か集まっている。そこかしこから大きな声もして、年に一度ある収穫祭ほどの熱気もあるようだ。
(何かあったのかしら。お祭りの季節は過ぎたはずだけど)
スイレンは不思議に思いながらもゆっくりと歩を進める。やがて広場の中央に置かれているとんでもないものに気がついた。壮麗なこの王都の景色には似つかわしくない。禍々しいとも言える大きな鉄格子の檻。
「スイレンの売る花は長持ちするから、店の中は花だらけだよ。今日も頑張りな」
花を持った女将さんに手を振って別れると、大きな花の入った籠を持ち、スイレンは籠の底に小袋で種類別にしている花の種を覗き込んだ。まだ花を追加することもないとは思うけれど、今日は何故か人出が多いみたいだから少しでも多く売れると良いな。そんなことを思いながら、王都中央にある広場へと歩いた。
広場には人が何故か集まっている。そこかしこから大きな声もして、年に一度ある収穫祭ほどの熱気もあるようだ。
(何かあったのかしら。お祭りの季節は過ぎたはずだけど)
スイレンは不思議に思いながらもゆっくりと歩を進める。やがて広場の中央に置かれているとんでもないものに気がついた。壮麗なこの王都の景色には似つかわしくない。禍々しいとも言える大きな鉄格子の檻。