【書籍化】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック2巻発売中】
「今日の売り上げはこれだけなのかい? 本当に役に立たない女だね」
スイレンの叔母にあたるマーサは、わずかな経費を差し引いた売上金を手に乗せたスイレンからそれを奪い取ると、見下げるように彼女を睨め付けた。
両親を亡くしたスイレンを引き取り、育ててくれたのは紛れもなく叔母である彼女なのだが、その育て方は真っ当であるとはとても言えなかった。
両親の死に落ち込みやつれた十歳になったばかりのスイレンを無理矢理花娘として働きに出し、その売り上げのほとんどを取り立て、住まわせる所は家の裏小屋。これ以上見栄えが悪いと花が売れないと服と靴だけは古着屋で買ってくれたが、それ以外はほぼ放置であった。
いつもの通り何も言わずに黙ったまま、項垂れながらスイレンは自分が住まう裏小屋へと入った。一切れのパンとチーズ。それと井戸から汲んだ冷たい水。それが彼女の夕食だった。
スイレンの叔母にあたるマーサは、わずかな経費を差し引いた売上金を手に乗せたスイレンからそれを奪い取ると、見下げるように彼女を睨め付けた。
両親を亡くしたスイレンを引き取り、育ててくれたのは紛れもなく叔母である彼女なのだが、その育て方は真っ当であるとはとても言えなかった。
両親の死に落ち込みやつれた十歳になったばかりのスイレンを無理矢理花娘として働きに出し、その売り上げのほとんどを取り立て、住まわせる所は家の裏小屋。これ以上見栄えが悪いと花が売れないと服と靴だけは古着屋で買ってくれたが、それ以外はほぼ放置であった。
いつもの通り何も言わずに黙ったまま、項垂れながらスイレンは自分が住まう裏小屋へと入った。一切れのパンとチーズ。それと井戸から汲んだ冷たい水。それが彼女の夕食だった。