きみだけのメリー・プレゼント
present2 大事な人
『ごめん、やっぱ明日は無理そう』
そんなメッセージのあとにクマのキャラクターがごめんねと謝っているスタンプが送られていたけど、謝れば済むと思っていそうな表情をしていて微妙に腹が立った。
第一あたし、このクマのキャラクター嫌いなんだよね。それはこの人の前でも何回か言ったことあるけど、どうせ覚えていないんだろうな。
あたしになんて、興味ないんだよ。みんな、そうに決まってる。
さっきメッセージを送ってきた男子には返信せずにトークページを閉じて、トーク履歴に並ぶものから適当に次を選んでメッセージを打ち込む。
『ねえ、クリスマス会える?』
『わりー、その日は先約ある』
すぐにメッセージは返ってきた。決して、あたしが望むものじゃなかったけれど。次に移る。
『その日は彼女と過ごすから』
『クリスマスは予定ある』
『暇だったら仁愛と過ごしたんだけどなー』
次、次、次と送っては断られる文面を機械的に打ち続けた。どれもこれも、相手があたしを優先してくれないのを感じて、所詮あたしが築いている関係はどれも薄っぺらいのだと突きつけられているみたいだ。
トークアプリに入っている連絡先すべてに同じ文面を送り終えて、すべてに断られたときには、すごく惨めな気持ちだった。
「……なにやってんだろ、あほらし」
スマホを机の上に投げ捨てた。
2学期の終業式が終わってからゆうに2時間は経過している。
教室にはもうあたししか残っていなくて、校舎にはほとんど人の気配がしない。ぽつんと自席に座っているあたしは、我ながら結構孤独だなと思う。まあ、グラウンドでは運動部が頑張ってるみたいだから完全に一人とかではないけど。
だけどそれも、ある程度すれば帰っていくのだろう。するとまた静けさは深まり、今より孤独感は増すのかもしれない。