辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2
領主であるセシリオは明日からの不在に備えてやり残したことがないかを最終確認していた。
「閣下、西部の橋の建設予算の承認を……」
「そこに置いた」
「閣下、新たな学校建設の計画案はご覧いただけましたでしょうか? このまま進めていこうと考えております」
「ああ、頼む」
「閣下、先日お渡しした軍備の配備計画は──」
「今夜までに見ておく」
「閣下、そろそろ雨の季節に備えた防災計画案の認可を──」
「それなんだが、もっと根本的な治水工事に力を入れるべきだ。もちろん洪水が起きた際の対応はあれでいいと思うが、平行して河川整備計画を出せ。洪水は発生させないことが鉄則だ」
「かしこまりました」
恭しく頭を下げた政務官が退室したのを見計らい、セシリオははぁっと息を吐いた。首を横に倒すと、ゴキゴキっと関節が鳴る独特の音がする。
セシリオはとにかく毎日が忙しい。
「閣下、西部の橋の建設予算の承認を……」
「そこに置いた」
「閣下、新たな学校建設の計画案はご覧いただけましたでしょうか? このまま進めていこうと考えております」
「ああ、頼む」
「閣下、先日お渡しした軍備の配備計画は──」
「今夜までに見ておく」
「閣下、そろそろ雨の季節に備えた防災計画案の認可を──」
「それなんだが、もっと根本的な治水工事に力を入れるべきだ。もちろん洪水が起きた際の対応はあれでいいと思うが、平行して河川整備計画を出せ。洪水は発生させないことが鉄則だ」
「かしこまりました」
恭しく頭を下げた政務官が退室したのを見計らい、セシリオははぁっと息を吐いた。首を横に倒すと、ゴキゴキっと関節が鳴る独特の音がする。
セシリオはとにかく毎日が忙しい。