辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2
 もちろん、政務官やモーリスを始めとする軍の要人には、要点だけを端的にかいつまんで説明させている。彼らは非常に有能でセシリオの判断が必要なことだけを的確に伝えてくるが、それでも目の回る忙しさだ。
 
 セシリオは執務机の椅子に座ると、水を一口飲んでから端に寄せられた手紙を手にとった。そこには何通もの手紙が重ねられている。
 これら全て、このニ週間と少しの間にサリーシャから届いたものだ。二日と置かずに手紙は届き、それは忙しいセシリオにとって癒しとなっていた。
 内容はその日にどんな手伝いをしただとか、三人の子ども達となにをして遊んだだとか、そんな他愛のないことだ。

 今日届いた手紙を開き、セシリオはおやっと思い、眉を寄せた。
 先日、社交パーティーで使用する品物の発注ミスをしてしまったと書かれた手紙がとどいたのだが、また同じようなミスをしてしまったと落ち込んでいる内容だ。

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