辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2
セシリオはすくっと立ち上がると、モーリスの向かいに腰をかけた。モーリスはセシリオに今日届いたばかりの報告書を手渡す。セシリオはそれをパラパラと捲り、中を確認した。
「見ての通り、それなりの成果だ。この一ヶ月で五回ほど例の窃盗団が出て、二回は直後に追跡して捕らえることに成功した。二回とも派遣した治安維持隊の成果だ」
「捕らえられたのはどういう連中だ?」
「まだ十代や二十代になったばかりの若いやつらばかりだそうだ。殆どが孤児院出身で、あまりいい職に付けなかった貧困層だな」
「そうか……。首謀者にあたりはついたのか?」
「いや。それが、少々やっかいだ」
「やっかい?」
静かに聞いていたセシリオの視線が鋭いものに変わる。その眼差しをまっすぐに受け止め、モーリスも真剣な様子で見返した。
「見ての通り、それなりの成果だ。この一ヶ月で五回ほど例の窃盗団が出て、二回は直後に追跡して捕らえることに成功した。二回とも派遣した治安維持隊の成果だ」
「捕らえられたのはどういう連中だ?」
「まだ十代や二十代になったばかりの若いやつらばかりだそうだ。殆どが孤児院出身で、あまりいい職に付けなかった貧困層だな」
「そうか……。首謀者にあたりはついたのか?」
「いや。それが、少々やっかいだ」
「やっかい?」
静かに聞いていたセシリオの視線が鋭いものに変わる。その眼差しをまっすぐに受け止め、モーリスも真剣な様子で見返した。