辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2
パトリックはあからさまに落胆した表情をみせた。
セシリオは顎に手をあてて考え込んだ。パトリックが大怪我したのはセシリオがフィリップ殿下の結婚式に参加するために王都に向かっていたくらいの頃──治安維持隊を派遣する前だ。記憶を辿っても、その頃に賊を捕らえたという話は聞いたことがなかった。
「怪我をした足は、もう大丈夫なのか?」
セシリオが訊くと、パトリックはにこりと笑う。
「はい、見ての通りです。もう三ヶ月近く経ってますから。特にここ二週間は毎日サリーシャ様が散歩やダンスに付き合ってくれるので、凄い早さで回復しています」
「毎日、サリーシャが?」
「お兄様とサリーシャ様は仲良しなんですのよ」
近くにいたローラがにこにこしながらセシリオを見上げる。
それを聞いたセシリオはなんとなくもやもやしたものを感じたが、パトリックもサリーシャも笑顔なのでなにも疚しいことはないのだろう。
セシリオは顎に手をあてて考え込んだ。パトリックが大怪我したのはセシリオがフィリップ殿下の結婚式に参加するために王都に向かっていたくらいの頃──治安維持隊を派遣する前だ。記憶を辿っても、その頃に賊を捕らえたという話は聞いたことがなかった。
「怪我をした足は、もう大丈夫なのか?」
セシリオが訊くと、パトリックはにこりと笑う。
「はい、見ての通りです。もう三ヶ月近く経ってますから。特にここ二週間は毎日サリーシャ様が散歩やダンスに付き合ってくれるので、凄い早さで回復しています」
「毎日、サリーシャが?」
「お兄様とサリーシャ様は仲良しなんですのよ」
近くにいたローラがにこにこしながらセシリオを見上げる。
それを聞いたセシリオはなんとなくもやもやしたものを感じたが、パトリックもサリーシャも笑顔なのでなにも疚しいことはないのだろう。