辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2
「いいえ。サリーシャ様と一緒に過ごせて楽しかったわ。──わたくしはいつまでここにいるかわからないけれど、またご一緒したら仲良くしてくださいませ。お兄様がうるさくって」

 レニーナは内緒話をするように顔を寄せると、ふふっと笑う。サリーシャも「はい、是非」と微笑み返した。
 次にサリーシャはレニーナの隣にいるローラの前に立った。

「ローラ様、いつでもアハマスに遊びに来てくださいませ」
「わたくし、行ってもいいの?」
「もちろんですわ。お茶と刺繍をする約束をしたではありませんか」

 笑顔で頷くサリーシャに、ローラは半泣きの笑顔で「ありがとう」と言った。そんなローラをサリーシャは優しく抱きしめる。

 最後にパトリックとジョエルに別れの挨拶をすると、サリーシャは馬車に乗り込んだ。
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