辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2
「あのっ、目が覚めてしまいました」
「ここのベッドは寝心地が悪かったか?」
「いえ、そのようなことはございません」

 サリーシャはぶんぶんと両手を胸の前で振る。

「昨日、カーテンを閉めるときにきちんと閉めていなかったようで。あ、ここの使用人の方はきちんと閉めて下さっていたのです。でも、わたくしが外を覗いた時にきちんと閉めていなかったようで──」

 どうやら、サリーシャは初めて訪れるアハマス家の王都のタウンハウスに色々と興味が湧き、昨晩は寝る前に窓から篝火に照らされる外の様子を眺めていたようだ。そして、そのときにきちんとカーテンを閉めなかったため、朝日が眩しくて目が覚めてしまったということらしい。

「そうか。ここのタウンハウスもきみは好きなところを見てくれて構わない。朝食まで少し時間があるから、簡単に案内しようか?」
「あ、それもお願いしたいのですが……」

 サリーシャは困ったような顔をして言葉尻を濁す。何か問題があるのかとセシリオは首を傾げた。

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