辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2
 セシリオの説明に、サリーシャはこくりと頷く。

「この屋敷の裏側、渡り廊下で繋がった別棟は使用人用だ。前回は結婚する前だったからきみの部屋は二階を用意してもらったが、今回は俺と同じ()いいだろう?」
「はい。閣下と一緒()いいですわ」

 サリーシャは笑顔で頷く。サリーシャの返事を聞いて少し照れたように耳を赤くしたセシリオはゆったりと視線をさ迷わせていたが、何かに気が付いたように窓際に歩み寄った。

「よく見ると、前回とカーテンが変わっているな。新しくなっている」
「そうなのですか?」
「ああ、前回来たときはもっとくすんでいた気がする」

 そう言ってセシリオが端を掴んで広げたカーテンはサリーシャの目にも色鮮やかで、真新しいように見えた。

「きっと、ここの使用人達がきみを歓迎して新調したのだろう」

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