辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2
 サリーシャを控え室の椅子に座らせると、セシリオは静かにその前に片膝をついて、サリーシャの顔を覗き込む。サリーシャはふるふると首を振った。

「いいえ、行きたいです。殿下とエレナ様のお祝いですし、それに……」

 サリーシャは唇を噛んで俯いた。
 握りしめたままの、こげ茶色のシルク地がアイボリー色レースの上に重ねられた豪華なドレスが目に入る。この日のために、セシリオがサリーシャに贈ってくれた。
 明日の舞踏会のドレスはエレナとお揃いのデザインでヘーゼル色にしたので、今日のドレスはセシリオの髪色であるこげ茶色がいいとサリーシャがおねだりして、わざわざオーダーメイドで仕立てたものだ。
 これを着るのを、サリーシャはとても楽しみにしていた。

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