【短編】猫が運んだ淡い初恋
羨ましい二人
──コンコンコン。
「失礼しまーす。実玖ちゃんいますか?」
体育の授業を終えた、金曜日の昼休み。
窓際の席でひなたぼっこしながら昼食を取っていると、ドアの隙間から憧れの先輩がひょっこり顔を覗かせた。
「あっ、はーい!」
いつもよりワントーン高い声で返事をした大好きな友人。
満面の笑みで前方のドアへ駆け寄っていく。
「東馬先輩! お久しぶりです!」
「久しぶり。はい、お届け物。ピザまんで良かったんだよね?」
「はい! ありがとうございます!」
目を細めて頬を緩ませる彼女の横顔をチラッと見た後、一口サイズのハンバーグを口に運ぶ。
中学の先輩で当時から憧れている西尾先輩と、一年の頃からのクラスメイトで友達でもある清水さん。
去年の秋に交際一年を迎えたみたいだけど、相変わらずラブラブだなぁ。
ただ話してるだけなのに、幸せオーラ満開だ。