【短編】猫が運んだ淡い初恋
「────遅いねぇ……」
二匹をケージから出し、ご飯をあげながらポツリと呟いた。
只今の時刻は夕方の五時を過ぎたところ。
お昼ご飯を食べてすぐ出て行ったから、丸四時間は経っている。
説明に時間かかってるのかな。
「ただいま〜」
あ、帰ってきた。
「遅くなってごめんね〜。ご飯は食べた?」
「今さっきあげたとこ」
「あらそう! ありがとね〜」
「良かったね〜」と、お腹いっぱいになって寝ているマルに笑う母。
タマはさっき寝てたからか、お父さんの周りをうろちょろしている。
なんか……二人揃って機嫌がいいな。
譲渡が上手くいったのかな?
「どうだったの?」
「すごく喜んでたぞ。終始満面の笑顔だった。名前はコタロウって言ってたな」
「へぇ〜」
興奮気味の父から先生の様子を聞き、上手くいったみたいでホッとした。
お試し期間を経て、問題がなければ正式にお迎えという形なんだそう。