【短編】猫が運んだ淡い初恋
「うん。そんなに意外?」
「はい。お嬢様学校に通ってるイメージでした」
穏やかで話し方も優しいし、猫四匹を預かる余裕があったから、てっきりお金持ちの人なのかなって思ってた。
「あははっ! 私庶民だよ。一般家庭育ち! それよりも、背伸びたね〜」
「えっ、そうですか?」
お互いに頭の上に手を置いて比べてみる。
市瀬さんが言うには、前に会った時よりも目線が少し上がったらしい。
いつの間に伸びてたんだ。
あの時は猫の救助でいっぱいだったから全然気づかなかった。
「って、本読んでたのに邪魔しちゃってごめんね」
「いえいえ。自由研究用に猫の情報が知りたいなって見てただけなので」
「猫ちゃんの生態を調べるの?」
「はい。理科なので猫の観察日記を出そうかなと思って」
「へぇ、可愛いね!」
話が盛り上がってきたためお店を後にし、近くのハンバーガー屋に入って話すことに。
今日は二人だけだからなんか新鮮だ。