【短編】猫が運んだ淡い初恋
仲睦まじい二人を眺めていたら、教室を見渡した先輩と目が合い、ハンバーグを口に含んだまま会釈した。
彼女とも目が合い、ぎこちなく笑い返す。
見てたの、気づかれちゃったかな。
「すーがわっ」
「うわぁ! ビックリしたぁー」
「えへへ〜」
すると突然、クラスメイトの才木さんが視界の端からにょきっと顔を出してきた。
イタズラが成功したみたいな、お茶目な顔を浮かべている。
彼女も一年の頃からのクラスメイトで、清水さんの小学校時代からの友人。
明るい性格で、小動物味がある可愛らしい外見なんだけど、中身は姉御肌でサバサバしてるんだ。
「また見てたの? 本当好きだね。もしかして今も未練あり?」
「さすがにそれはないよ。ちょっと羨ましいなって思っただけ」
弁当箱を片づけながら、席に戻ってピザまんを食べている彼女をチラ見する。
清水さんと仲良くなったのは、一昨年の入学式。
席が前後だったことがきっかけだった。