【短編】猫が運んだ淡い初恋
「タマちゃんとマルちゃんは元気?」
「はい。ピョンピョン飛び跳ねてます。トラ猫ちゃん達も元気ですか?」
「うん。すごく元気だよ。ベルちゃんとも仲良くしてる。あ、確か今週末に対面らしいね。従兄弟なんだっけ?」
「はい。動物大好き家族が伺います」
先月に連絡をくれた従兄弟家族とは、今週末の土曜日に対面することに決まった。
もちろん、今回もタマとマルとお留守番。
本当は俺も行きたい。
どんな風に引き渡してるのかも見たいけど、一番は直接お別れの挨拶がしたいんだよね。
「元気でね」って、笑顔で送り出してあげたい。
ズズッとフルーツシェイクを吸っていると、市瀬さんと同じ制服姿の生徒達が店内に入ってきた。
「高校ってどんな感じですか? やっぱ授業は難しいですか?」
「んー、教科によるけど、ちゃんと勉強してたらそこまで難しくはないよ。最初は人の多さに慣れなくて大変だったな〜」
人気校の様子が気になって尋ねてみたら、なんと人酔いするくらい生徒が多いんだとか。
購買はすぐ行かないと売り切れちゃうらしい。