【短編】猫が運んだ淡い初恋


「じゃあお礼に、ベルちゃん達の可愛い写真を見せるね」

「あっ、ありがとうございます」



……いや、現実的に考えろ。

高校生が数ヶ月前までランドセル背負ってた子どもを相手にするわけがない。



「これ、ちょうどあくびしてる時に撮れたの」

「わぁ、思いっ切り口開けてますね。可愛い」

「ふふふ。あとは……トラちゃん達のお昼寝ショット!」



写真を見ながら高鳴る胸を落ち着かせる。

次に見せてきたのは、お腹を出して並んで寝ている写真。
コタロウ君が引き取られる前日に撮ったんだそう。



「次の日、いつもは全然起きないのに、コタロウ君を抱えたらみんなすぐ起きたんだよね」

「お別れするって感じたんでしょうかね……」

「そうかもね……」



切ない顔を見た途端、ズキンと胸が痛んだ。


お世話は大変そうだけど、賑やかで楽しそうだなって思ってた。


……まだお子ちゃまだな。

楽しい分、お別れする時は辛いって、どうして頭になかったんだろう。


三歳差なのに、経験の差が圧倒的に違うよ。
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