【短編】猫が運んだ淡い初恋
三歩進んで二歩下がる
◇◇
「須川! おはよう!」
「おはようございます」
二学期初日の登校日。
校門で高倉先生と顔を合わせた。
「お、少し背伸びたな。コタロウもすくすく育ってるぞ〜」
先月にお試し期間が終わり、コタロウ君は正式に高倉先生の家族になった。
その影響もあってか、いつもに増してご機嫌。
そんな先生を、周りの生徒達は動揺した様子で通り過ぎていく。
……もうここまできたら、来年には完全にキャラが変わってしまいそうだ。
「先生、可愛いのは充分わかりますけど……」
「わーかってるって! 猫ちゃんには甘々だが、生徒にはきちんと指導するから。須川も油断するなよ?」
「はい……」
うわぁ、自分で甘々って言っちゃったよ。
まぁでも、すごく可愛がられてるみたいで良かった。
少し話した後、猫達のことで話したいことがあると言われ、放課後に生徒指導室へ行くことに。
新しい里親が見つかったのかな?
なんて、淡い期待を寄せて訪ねたが。