【短編】猫が運んだ淡い初恋




「──……先月の登校日に見つけた物だ」

「っ、嘘……」



テーブルに置かれたクシャクシャの紙と破かれた紙。

それらは、校内に貼っていた里親募集の張り紙だった。


絶句したまま張り紙を手に取ると、裏には上履きで踏んづけた跡がうっすら残っている。


酷い……なんでこんなことを……。



「須川はまだ一年生だし、それに男子だからあまり耳にしないかもしれないが……

実はこの学校、荒れている女子生徒がチラホラいてな。ここ数年で減ってきてはいるんだが、こうやって問題行動を起こす生徒が時々いるんだよ」



話によれば、今回のようにポスターをボロボロにされたり、校舎裏にゴミが捨てられていたり、酷い時は花壇の花が荒らされていたことがあったんだと。



「最近は、集団で陰口を叩いて追い詰めている話をよく聞くんだ。目に見えるものじゃないから、特定が難しくてな……」



言葉の暴力か……。

ストレスが溜まっていてやったのかどうかはわからないけど、何の関係もないのに八つ当たりされるなんて溜まったもんじゃない。
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