【短編】猫が運んだ淡い初恋
「────終わったぁ〜」
「ふふふ。お疲れ様」
二時間弱かけて、ようやく選別が終了。
伸びをして凝り固まった上半身をほぐす。
全部可愛かったんだけど……少し目線や体勢が違うだけの似たような写真ばっかりだった。
そこは厳選して現像してくれよ。
……でも可愛いから、あれもこれもって絞れなかったのかも。
「須川君! これ見て!」
写真をまとめていると、興奮気味の彼女に肩を叩かれた。
一瞬ドキッとしつつ、こちらに向けてきたスマホに視線を移す。
「【子猫を引き取りたい】……⁉」
メッセージアプリの画面にハッキリと書かれていた文。
時間を見たら、ほんの二十分前。
前回の従兄弟家族と似たようなタイミングで来るとはビックリだ。
「やったね〜!」
「は、はい!」
満面の笑みで喜ぶ彼女とハイタッチを交わした。
市瀬さんがこんなに喜んでるの初めて見た。
コタロウ君とコジロウ君の時も、こんな風に喜んでたのかな。