【短編】猫が運んだ淡い初恋
里親希望の連絡をくれたのは、クラスメイトの男の子。
猫を飼うのは初めてだけど、保護猫の話を聞いた後、家族全員で猫についてみっちり勉強したらしく。
熟考した結果、引き取ることにしたのだそう。
「彼、笹森君って言うんだけど、成績学年トップの人なの。
数ヶ月かけて、校内で猫を飼ってる人に話を聞いたんだって。夏休み中もひたすら聞いてたって言ってた」
「ええっ⁉ 数ヶ月も⁉」
彼の話を聞きつつ、出口に向かう。
驚いたけど……生徒数が多いなら時間もかかるか。
成績トップって言われたから、図書館で大量の本を読んで勉強したのかと思った。
でも、本だけよりも、実際に飼ってる人の話も聞いたほうがわかりやすいよね。
「じゃあ、詳しいことが決まったらまた連絡するね」
「はい。母に伝えておきます。ありがとうございました」
彼の真剣さを感じたところで、公園の自転車置き場にて解散した。
あと一匹。残り二ヶ月ちょっと。
無事に見つかりますように。