【短編】猫が運んだ淡い初恋
再会
◇◇
「────懐かしいな……」
駅前の広場で、スマホの中のトラ猫達を眺めながら思い出に浸る。
今日は才木さんと一緒に猫カフェに行く予定。
もうすぐ三年生だから、忙しくなる前に楽しんでおこうと思ってね。
「元気かな……」
母から貰ったトラ吉の写真を見つめる。
市瀬家とは今も写真を交換しており、毎年トラ吉とベルちゃんの写真を貰っている。
スマホを買ってもらった時に連絡先を聞きたかったけど、「もしかして好きなの?」って言われたら恥ずかしいと思って、結局言えず……。
今も母親同士がやり取りを続けている。
はぁ……思春期真っ盛りだったから仕方なかったとはいえ、なんてもったいないことをしたんだろう。
勇気を出していれば、今も交流してたかもしれないのに。
二人で会ってた時に電話番号だけでも聞いておけば良かったなぁ。
あぁダメだダメだ。これ以上は女々しいからやめとこう。
「須川……君?」