【短編】猫が運んだ淡い初恋
スマホの画面に映っている、四匹の子猫と母猫。
一匹だけお腹を出して寝ている子がベルちゃんらしい。
ベンガルらしく、兄弟の中で一番元気っ子なんだって。
「マル、お友達だよ」
「マルちゃん、こんにちは。ベルちゃんです」
ベルちゃんが興味津々だったので、会わせてみようと網状になっている側面を向けてみた。
しかし……。
「あらら、ちょっと怖いみたいだね」
「ですね……」
震えは収まっててだいぶ落ち着いてはいるものの、さっきと変わらず、隅っこで丸くなっている。
生まれて二ヶ月。
外の世界に慣れてほしいけど、無理矢理出すのは逆効果だよな。
「タマちゃんはどうかな? 一緒に来てるんだよね?」
「はい。お母さんと病院で待ってます。もう起きたかな」
お互いに時間が迫ってきたため、一緒に病院に戻ることに。
すると。
「あ、おかえり。マル落ち着いた?」
「うん……少し」