『オトメ♡研究同好会』の恋多き日常
そんなこんなで、文化祭当日。想像以上に
参拝者が殺到した。文化祭を利用して、告白
しようと試みている生徒が大勢居るのかもし
れない。オト研は店番をする必要が無いの
で、各々のクラスで活動することになった。
ちなみに、俺のクラスは『男女逆転 和風喫
茶』で、ゆづちゃんのクラスは『謎解き脱出
ゲーム~魔王城から脱出せよ~』という企画
だ。そして現在俺は、抹茶色の浴衣に、フリ
フリのエプロンを着せられて店番をしてい
る。こういう格好は、湊みたいな容姿の整っ
た奴がするに限ると思うのだが、仕方がな
い。おっと、早速客がやって来た。
「いらっしゃいませ。何名様ですか」
「二人です」
「「あ」」
驚いたことに店に入ってきたのは、悪魔らし
きパーカーを身に纏ったゆづちゃんだった。
魔王城とは聞いていたが、ゆづちゃんは悪魔
役か。うん、可愛い。パーカーのフード部分
には、大きな目玉と角がついており、何とも
言えない可愛さだ。
「ゆづちゃん…と、誰だ君は」
「この方は私のクラスメイト、信《のぶ》く
んです」
信くんとやらは、髪の毛が真っピンクでいか
にもチャラそうだ。ゆづちゃんは、こんなに
チャラそうな奴と仲良くしているのか。心配
だ。俺の可愛い妹にちょっかい出すなよ、と
睨みつけたのだが、気づいているのかいない
のか、スルーされてしまった。
「こちらのお席へどうぞ」
「陽太先輩が敬語を使っているところ、初め
て見た気がします」
「確かにな。敬語はあまり好まないのだが、
一応店番だからな。それに今日は『陽太ちゃ
ん』だし」
「今日の陽太先輩、可愛いですね。浴衣、お
似合いです」
「可愛いとか言われても、全然嬉しくないな
ぁ。俺なんかより、ゆづちゃんの格好の方が
何百倍も可愛いぞ」
「先輩と比較されても、嬉しくないですね」
「何だと」
「仕返しです。フフッ」
「もの凄い、小悪魔感…。では、ご注文がお
決まりでしたらお呼びください」
そういえば、ピンク頭の信くん、一言も喋ら
なかったな。以外に大人しいのかもしれな
い。そうだとすれば、先ほど睨みつけてしま
ったのは失礼だったが、やはり気に食わない
な。
「陽太先輩、注文をお願いします」
「はーい。ただいま」
「和風オムレツと、抹茶アイスを二つずつく
ださい」
「かしこまりました」
「あと、陽太先輩」
「何だ」
「休憩時間になってからで良いので、後で一
緒に回りませんか?」
「あぁ。だが、そいつとは一緒じゃなくてい
いのか?」
「信くんですか?彼には先約があるので、問
題ありません」
「僕、彼女いるんです」
「は…?先に言えよ。心配したじゃないか
よ。というかそんなことより、信くんがしゃ
べった」
「すみません、先輩、さっきからもの凄い目
で睨んでいましたもんね、僕のこと」
「すまん、つい、嫉妬心が燃えてしまって
な」
「結月さんのこと、大好きなんですね」
「はぁっ?!勘違いされるような言い方する
な。ゆづちゃんは、俺の妹みたいなものだか
らな」
「それじゃあ、大人しく待っておけよ」
信くん危険人物でないことがはっきりして一
安心だが、俺としてはもう少し離れて座って
欲しい。ゆづちゃんと距離が近すぎない
か…、とそんなことを悶々と考えながらオム
レツにケチャップをかける。にこちゃんマー
クと俺のサインを描いて、完成。元々こうい
う細かい作業は苦手だが、毎日俺の食事で練
習した甲斐があった。なかなかの出来だ。ク
ラスメイトが用意してくれた抹茶アイスも持
って、ゆづちゃんたちの席へと急いだ。
「お待たせしました。和風オムレツと抹茶ア
イスでございます」
「ありがとうございます。あ、もしかしてこ
のケチャップ、陽太先輩が描きました?」
「そうだが、なぜわかった?」
「なんというか…、少し歪な感じが先輩らし
いと思いまして」
「歪…」
俺が描いたことに気づいてくれたのは嬉し
い。だがしかし、歪とは失礼な。最近のゆづ
ちゃん、俺に対してあたりがキツイように感
じる。
「「いただきます」」
「陽太先輩、次の休憩時間はいつですか?」
「確か十分後くらいだったと思うから、もう
少し待っていてくれ」
「わかりました。お待ちしています」
参拝者が殺到した。文化祭を利用して、告白
しようと試みている生徒が大勢居るのかもし
れない。オト研は店番をする必要が無いの
で、各々のクラスで活動することになった。
ちなみに、俺のクラスは『男女逆転 和風喫
茶』で、ゆづちゃんのクラスは『謎解き脱出
ゲーム~魔王城から脱出せよ~』という企画
だ。そして現在俺は、抹茶色の浴衣に、フリ
フリのエプロンを着せられて店番をしてい
る。こういう格好は、湊みたいな容姿の整っ
た奴がするに限ると思うのだが、仕方がな
い。おっと、早速客がやって来た。
「いらっしゃいませ。何名様ですか」
「二人です」
「「あ」」
驚いたことに店に入ってきたのは、悪魔らし
きパーカーを身に纏ったゆづちゃんだった。
魔王城とは聞いていたが、ゆづちゃんは悪魔
役か。うん、可愛い。パーカーのフード部分
には、大きな目玉と角がついており、何とも
言えない可愛さだ。
「ゆづちゃん…と、誰だ君は」
「この方は私のクラスメイト、信《のぶ》く
んです」
信くんとやらは、髪の毛が真っピンクでいか
にもチャラそうだ。ゆづちゃんは、こんなに
チャラそうな奴と仲良くしているのか。心配
だ。俺の可愛い妹にちょっかい出すなよ、と
睨みつけたのだが、気づいているのかいない
のか、スルーされてしまった。
「こちらのお席へどうぞ」
「陽太先輩が敬語を使っているところ、初め
て見た気がします」
「確かにな。敬語はあまり好まないのだが、
一応店番だからな。それに今日は『陽太ちゃ
ん』だし」
「今日の陽太先輩、可愛いですね。浴衣、お
似合いです」
「可愛いとか言われても、全然嬉しくないな
ぁ。俺なんかより、ゆづちゃんの格好の方が
何百倍も可愛いぞ」
「先輩と比較されても、嬉しくないですね」
「何だと」
「仕返しです。フフッ」
「もの凄い、小悪魔感…。では、ご注文がお
決まりでしたらお呼びください」
そういえば、ピンク頭の信くん、一言も喋ら
なかったな。以外に大人しいのかもしれな
い。そうだとすれば、先ほど睨みつけてしま
ったのは失礼だったが、やはり気に食わない
な。
「陽太先輩、注文をお願いします」
「はーい。ただいま」
「和風オムレツと、抹茶アイスを二つずつく
ださい」
「かしこまりました」
「あと、陽太先輩」
「何だ」
「休憩時間になってからで良いので、後で一
緒に回りませんか?」
「あぁ。だが、そいつとは一緒じゃなくてい
いのか?」
「信くんですか?彼には先約があるので、問
題ありません」
「僕、彼女いるんです」
「は…?先に言えよ。心配したじゃないか
よ。というかそんなことより、信くんがしゃ
べった」
「すみません、先輩、さっきからもの凄い目
で睨んでいましたもんね、僕のこと」
「すまん、つい、嫉妬心が燃えてしまって
な」
「結月さんのこと、大好きなんですね」
「はぁっ?!勘違いされるような言い方する
な。ゆづちゃんは、俺の妹みたいなものだか
らな」
「それじゃあ、大人しく待っておけよ」
信くん危険人物でないことがはっきりして一
安心だが、俺としてはもう少し離れて座って
欲しい。ゆづちゃんと距離が近すぎない
か…、とそんなことを悶々と考えながらオム
レツにケチャップをかける。にこちゃんマー
クと俺のサインを描いて、完成。元々こうい
う細かい作業は苦手だが、毎日俺の食事で練
習した甲斐があった。なかなかの出来だ。ク
ラスメイトが用意してくれた抹茶アイスも持
って、ゆづちゃんたちの席へと急いだ。
「お待たせしました。和風オムレツと抹茶ア
イスでございます」
「ありがとうございます。あ、もしかしてこ
のケチャップ、陽太先輩が描きました?」
「そうだが、なぜわかった?」
「なんというか…、少し歪な感じが先輩らし
いと思いまして」
「歪…」
俺が描いたことに気づいてくれたのは嬉し
い。だがしかし、歪とは失礼な。最近のゆづ
ちゃん、俺に対してあたりがキツイように感
じる。
「「いただきます」」
「陽太先輩、次の休憩時間はいつですか?」
「確か十分後くらいだったと思うから、もう
少し待っていてくれ」
「わかりました。お待ちしています」