彩られてゆく世界に君とふたり
無彩色な笑
小学校六年生の冬。私、笑は、突然転校す
ることになった。普通の人ならこんな時、悲
しいとか、嫌だとか、そういう風に思うのだ
ろう。だけど私は、特に何も感じなかった。
ただ、そっか、と。早く、引っ越しの支度を
しなくちゃ、と思っただけ。あまりにも淡々
と受け入れてしまう私を、母はこんな風に言
った。
「あなたには、感情がないのかしら」と。
この時は、何も言い返さなかった。その通り
だと、自分でも思ったから。別に、学校が楽
しくなかった訳ではない。友達だって、ちゃ
んといた。クラスの人気者に、なれていたと
思う。いや、「ちゃんと」というのは意地っ
張りかもしれないけれど。どういう関係なら
ば友達と言えるのか、正直わからない。本当
に、毎日楽しかっただろうか。考えれば考え
る程、訳がわからなくなる。こんな私だか
ら、今更転校したところで、新しい生活を謳
歌できる気がしない。いつまで続くのだろう
か、私の、無彩色な日々は。
ることになった。普通の人ならこんな時、悲
しいとか、嫌だとか、そういう風に思うのだ
ろう。だけど私は、特に何も感じなかった。
ただ、そっか、と。早く、引っ越しの支度を
しなくちゃ、と思っただけ。あまりにも淡々
と受け入れてしまう私を、母はこんな風に言
った。
「あなたには、感情がないのかしら」と。
この時は、何も言い返さなかった。その通り
だと、自分でも思ったから。別に、学校が楽
しくなかった訳ではない。友達だって、ちゃ
んといた。クラスの人気者に、なれていたと
思う。いや、「ちゃんと」というのは意地っ
張りかもしれないけれど。どういう関係なら
ば友達と言えるのか、正直わからない。本当
に、毎日楽しかっただろうか。考えれば考え
る程、訳がわからなくなる。こんな私だか
ら、今更転校したところで、新しい生活を謳
歌できる気がしない。いつまで続くのだろう
か、私の、無彩色な日々は。