彩られてゆく世界に君とふたり
若菜のクリスマスプレゼント
クリスマスの朝だった。僕は、教室で育て
ている小さなもみの木を見つめている。普段
と変わらず、穏やかだなぁ。昨日櫻井さんと
会話していたのが、夢みたいだ。呑気にして
いたら突然、視界が大きく揺れて椅子から転
げ落ちそうになった。
「若菜くん、おはよう」
僕の背後には、櫻井さんが立っていた。まる
で、それが日常的な光景であるかのように。
「おは、よ」
勇気を振り絞って挨拶を返したのに、僕の視
線の先に櫻井さんはいなかった。
「凄い!可愛い。このクリスマスツリー、若
菜くんが作ったの?」
彼女は、小さな飾りを付けただけのもみの木
を見ていたのだ。驚いた。瞬間移動でもした
のかと思ったじゃないか…。
「そうだよ。生き物係と言っても、基本的に
植物しか育てていないんだ」
「楽しそう!私も何かやってみたい」
「じゃあ…、ちょっと早いけれどお正月飾り
でも作る?」
「いいね!やろう」
残り数カ月で卒業してしまうけれど、今にな
ってようやく、たった一人の友達ができた。
友達一人作るのにこんなにも時間をかけてし
まうだなんて、僕はなんて弱虫なんだろう、
と思ってしまう。だけど、時間をかけた分、
素敵な人と出会えた。それだけで、十分だ。
沢山友達がいたって、中途半端な関係でしか
ないのなら、僕はたった一人だけの友人を大
切にしたい。櫻井さんを、笑を、好きでいた
い。
ている小さなもみの木を見つめている。普段
と変わらず、穏やかだなぁ。昨日櫻井さんと
会話していたのが、夢みたいだ。呑気にして
いたら突然、視界が大きく揺れて椅子から転
げ落ちそうになった。
「若菜くん、おはよう」
僕の背後には、櫻井さんが立っていた。まる
で、それが日常的な光景であるかのように。
「おは、よ」
勇気を振り絞って挨拶を返したのに、僕の視
線の先に櫻井さんはいなかった。
「凄い!可愛い。このクリスマスツリー、若
菜くんが作ったの?」
彼女は、小さな飾りを付けただけのもみの木
を見ていたのだ。驚いた。瞬間移動でもした
のかと思ったじゃないか…。
「そうだよ。生き物係と言っても、基本的に
植物しか育てていないんだ」
「楽しそう!私も何かやってみたい」
「じゃあ…、ちょっと早いけれどお正月飾り
でも作る?」
「いいね!やろう」
残り数カ月で卒業してしまうけれど、今にな
ってようやく、たった一人の友達ができた。
友達一人作るのにこんなにも時間をかけてし
まうだなんて、僕はなんて弱虫なんだろう、
と思ってしまう。だけど、時間をかけた分、
素敵な人と出会えた。それだけで、十分だ。
沢山友達がいたって、中途半端な関係でしか
ないのなら、僕はたった一人だけの友人を大
切にしたい。櫻井さんを、笑を、好きでいた
い。