離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
プロローグ


「なあ……、 もうこんな事、やめにしないか? 」

 寝室で私に覆い被さりながら、眉毛を寄せ、切なく、苦しみを滲ませた瞳で私を見つめる蓮斗さんは、私の旦那だ。

「……っ、 そんな…… 」

 いつかはそんな日が来るのでは…… ずっと恐れていた言葉を言われ、イヤイヤと何度も首を振る私に、眉間の皺を更に深くして、整った顔を歪ませる。


「……シエナ…… 」

「……っんん んくっ…… 」

 蓮斗さんはゆっくりと挿ってくるが、引き攣れたような痛みに、くぐもった声が漏れ、思わず唇を噛む。

「唇を噛むな」

 蓮斗さんの手が伸びて来て、私の頬に手を当てると、親指で唇をツーっとなぞる。

 顔に影が落ちて、唇を重ねようと顔を傾けた瞬間、彼は吊り目がちな目を、これでもかと見開き、戸惑いの色を浮かべると、私の顔をジッっと見つめた。
 
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