離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
 少し痩せたか? 仕事に打ち込むのは良いが、俺の事を忘れる程なのは、寂しい。

 仕事中のシエナはカッコイイが、合間には俺の事を考えてくれ! なんて、思ってしまう俺は、我ながら余裕が無くて笑える。

 もしかして俺の会社、ブラックか?!
 
 業務内容をもう一度見直そう。

 なんて、考えていたら、バタバターーーッっと奴が来てしまった。

「13時の予約のお客様が、早めに着いたから、繰り上げて打ち合わせして欲しいっておしゃってて。 ちょっと癖のあるお客様だから…… 」

 正直、シエナの周りをうろつくチーフは、気に入らないが、仕事に関しては、敵ながら天晴と言うか、こいつ、ブライダル部門の業績の伸びをみても、かなりデキる! そこは素直に賞賛する。 もちろん、その中にはシエナの手柄も含まれるがな。 だからこそ、余計にいけすかない。 チッ、イケメンめ!


「…… 良いのか…… ? 」

 チラッと、俺の顔を伺うチーフにイラつくが、ここは仕事だ、仕方ない。

「ごめんなさい、緊急事態なので、行きますね」

「あ、ああ…… 」

 そう告げて、一度も俺を振り返る事なく、チーフと行ってしまった。

 クッ……ッ チラッとだけでも、俺を気にしてくれ!
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