離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます

 頭の両サイドをツインテールに結び、お団子を作ることにした。わざと、高さを変えたアシンメトリーのお団子で、彼女の、キュートな魅力が全開に出る様に。

 元から着けていた、小さなつまみ細工の髪飾りはちりめんで梅の花が咲いていた。

 お人形の様な彼女に似合っていて可愛らしいが、少し物足りない。

「あ、そうだ! 」

 自分の頭についている蝶々リボンのゴムを外して、彼女の髪に着ける。

「うん、ほら、お花に蝶々が溜まって可愛い、可愛い! 」

 自分用に、いらない布を台形に切り取って、ビーズを付けて縫い合わせた簡単な手作りゴムだけど許してね、と心の中で手を合わせる。

「後は…… 」

 ポンポンっと着物を差して、直していい? と、人差し指と親指でオッケーサインを出す。

「Yeah!」

 涙が止まった女の子は、さっきよりも少し明るい声だ。

 
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