離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
「ね、蓮斗さん、お揃ろコーデしましょうよ。 いいでしょう? 」
甘えた声で、上目遣いに蓮斗さんを見る白鳥さんは、薔薇の花が綻んでいる様な、煌びやかな笑顔を向けている。
(…… 白鳥さん、綺麗…… )
頬をほのかにピンクに染めて、幸せそうに見える彼女が眩しく目に映る。
「いや、今日の主役はあくまでこのホテルだからな、余り目立つのは良くない」
蓮斗さんと、一瞬目が合いドキリッとする。
彼は直ぐに私から目を逸らすと、私には目もくれず、そのまま横を通り過ぎ、衣装合わせに向かって行った。
(…… そう、だよね…… 私とはもう、目も合わせたくないよね…… )
ギュッっと、唇を引き結ぶ。
「…… なあ、あれ、社長……だよな? なんか雰囲気違くないか? 」
チーフも眉間に皺を寄せて、怪訝そうな顔をして、蓮斗さんを見る。
私も、コクリッと縦に首をふる。
「…… 無、じゃ、ない…… 」
「それだ! いつもの能面じゃないから変なのか!! 」
そう、蓮斗さんは、目尻を下げ、今までに見た事のない柔和な顔で、頬を緩ませ笑っているのだ。
「…… あれは…… 誰? 」
「シーちゃんの、旦那…… じゃね? 」
(…… そう…… なのかな……? いや、あれはもう、私の知ってる蓮斗さんじゃない…… )
いつもの、理知的に見えるトレードマークの眼鏡を外し、少し目尻の吊り上がった瞳を、惜しげなく晒して、三日月型に変えている。
見慣れた無表情はどこへやら、キラキラと輝く極上の笑顔を、周りに振り撒いている。
(一体、彼に何があったの……? ううん…… もしかしたら、私には向けられなった、あの笑顔、あれが彼本来の姿なのかもしれない…… )
考えれば考えるほど、彼が知らない人の様に、遠く感じて来る。
「それより、あれは良いのか? 」
蓮斗さんと白鳥さんの楽しそうな様子に、チーフは片眉を上げて、苦笑いをする。
笑顔の蓮斗さんを、呆然と眺めていた私は、首だけでコクリッと、小さく頷く。
勘の良いチーフは、様子のおかしい私を察したのか、一言だけ呟いた。
「そうか…… 」
甘えた声で、上目遣いに蓮斗さんを見る白鳥さんは、薔薇の花が綻んでいる様な、煌びやかな笑顔を向けている。
(…… 白鳥さん、綺麗…… )
頬をほのかにピンクに染めて、幸せそうに見える彼女が眩しく目に映る。
「いや、今日の主役はあくまでこのホテルだからな、余り目立つのは良くない」
蓮斗さんと、一瞬目が合いドキリッとする。
彼は直ぐに私から目を逸らすと、私には目もくれず、そのまま横を通り過ぎ、衣装合わせに向かって行った。
(…… そう、だよね…… 私とはもう、目も合わせたくないよね…… )
ギュッっと、唇を引き結ぶ。
「…… なあ、あれ、社長……だよな? なんか雰囲気違くないか? 」
チーフも眉間に皺を寄せて、怪訝そうな顔をして、蓮斗さんを見る。
私も、コクリッと縦に首をふる。
「…… 無、じゃ、ない…… 」
「それだ! いつもの能面じゃないから変なのか!! 」
そう、蓮斗さんは、目尻を下げ、今までに見た事のない柔和な顔で、頬を緩ませ笑っているのだ。
「…… あれは…… 誰? 」
「シーちゃんの、旦那…… じゃね? 」
(…… そう…… なのかな……? いや、あれはもう、私の知ってる蓮斗さんじゃない…… )
いつもの、理知的に見えるトレードマークの眼鏡を外し、少し目尻の吊り上がった瞳を、惜しげなく晒して、三日月型に変えている。
見慣れた無表情はどこへやら、キラキラと輝く極上の笑顔を、周りに振り撒いている。
(一体、彼に何があったの……? ううん…… もしかしたら、私には向けられなった、あの笑顔、あれが彼本来の姿なのかもしれない…… )
考えれば考えるほど、彼が知らない人の様に、遠く感じて来る。
「それより、あれは良いのか? 」
蓮斗さんと白鳥さんの楽しそうな様子に、チーフは片眉を上げて、苦笑いをする。
笑顔の蓮斗さんを、呆然と眺めていた私は、首だけでコクリッと、小さく頷く。
勘の良いチーフは、様子のおかしい私を察したのか、一言だけ呟いた。
「そうか…… 」