離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
発覚
 お腹にシクシクッとした痛みを感じて、思わず、手でお腹を摩る。

「ン…… 」

 身じろぎをして、薄っすらと目を開けると、見慣れない天井が飛び込んで来た。

「…… あれ……? 私……? 」

 驚いて、辺りを見回した。

「気が付いたようね」

 白衣を着た女性に声をかけられ、ゆっくりと起き上がった。

「無理しなくて良いわよ。 ここはホテルに備えてある医務室よ。 覚えてる? 貴方、仕事中に倒れたのよ。 気分はどう? 」

「少し……、下腹の辺りがたまにシクシクします」

 胃なのか、下腹なのか、違和感があり、手を当てる。

「食欲は? 最近、身体がダルかったり、微熱が続いてたりする? 」

 離婚の事があって、精神的にも、身体も、とにかく疲れていて、どれも当てはまる。

「最終月経はいつ? 何日間? 」

 女医の質問に?? とクビを傾げつつ、答える。

「先月は来ました、いつもより短くて、3日くらいだったかと…… 」

「産婦人科じゃないから、超音波検査なんかは出来ないけど、尿検査なら出来るわ」

 紙コップを手渡され、私はトイレに向かった。

(流石、ラグジュアリーなホテルだな。 医務室も専属医者がいるなんて…… )

 呑気に、医務室を興味深く、キョロキョロ見渡す私に、女医が口を開いた。







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