離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます

（妊娠…… 本当に？！　）

　実感が湧かず、まるで夢の中をフワフワと、漂っている様な気がする。

「…… とりあえず、チーフ達に迷惑かけた事、謝らないと…… 」

　纏まらない頭で、サロンに向かって歩き始めた。

　中庭を通り過ぎようとした時、カサリッと音がして、音のした方を振り返った。

「…… ッ？！　」

　ヒュウッと、喉が鳴り、頭を思いっきり、殴られた様なショックが、全身を貫いた。

「…… 蓮…… 斗さん？！　」

　目の前には、蓮斗さんと白鳥さんが、キスをしている姿が、照らし出されていた。

　息を呑んで、自分の目を疑うが、紛れもなく、蓮斗さんと白鳥さんだ。

（嫌っ！　）

　顔を背け、その場から逃げ出した。

（まさか、ここまで二人の愛が育っていたなんて……！　）