離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
 日本に帰国して直ぐに、病院へ行ったら、やっぱり妊娠していた。

「わかりますか? これが赤ちゃんです。 まだ小さくて、よく見ないとわからないかもしれませんが、ドクドクッと波打ってるのが心臓です」

 
 帰宅して、貰ったエコー写真を、眺めていると、じんわりと、暖かい気持ちが湧き上がり、目頭が熱くなった。

「…… 私、本当に妊娠したんだ! ここに、いるのね、赤ちゃんが…… 」

 何度も何度も、エコー写真を眺めては、一人ニヤニヤッとする。

 つい、嬉しくて、母子手帳まで貰いに行ってしまった。

 でも……

 離婚するんだよ、私……、産めるの? ううん、 産んでも…… 良いのかな……?

「妊娠継続しますか? 」

 医師の問いに、即答出来ずにいた。

「パートナーと、十分に話し合って、妊娠週数が21週を超えないように、早めに意思決定の判断をして下さい」

 産むか、諦めるか……

 蓮斗さんは既に白鳥さんと、新しい未来に向かって進んでいるんだもんね、迷惑はかけられない。


「どっちにしろ、蓮斗さんには、離婚届を提出したのかどうか、確認しなくちゃいけないんだよね…… 」

 はあーーっ……

「辛っ…… 」



 

 
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