離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
「気分はいかがですか? どこか気になる所はありますか? 」

 医者がやって来て、身体の診察は一通り終わり、頭痛について説明を受けた。

 どうやら、数日前に地震が起き、揺れに驚いた白鳥が抱き付いて来た際に、ダイニングテーブルの角に頭を強打したらしかった。


 幸い、それ以外の外傷はなかったが、問題が一つ…… 。


「…… すまない、どうも、記憶が混乱している様で…… 。 ここは、俺が新規オープンさせたく、力を入れていたホテルで良いのか…… ? 」

 医者と一緒に入って来た、秘書だと言う山吹に確認をする。


「はい。 社長が倒れた後は、以前から指示して頂いてた通り、進めていますので、問題はないかと。 ただ、レセプションパーティーの初日の社長の挨拶だけが、予定外になってしまいました」 

「パーティーは今日が最終日だな、一時間後に始まるなら、今から支度すれば間に合うな」

「社長、まだ無理は……!」

「この通り、身体はピンピンッしてる。 報告書を見る限りどうやら俺は、このホテルのオープンにかなり力を入れていた様だな。 かなりの収益が見込める、このホテルオープンは失敗する訳には行かない。 行くぞ、挨拶! 」

 「承知しました。 それと、眼鏡が、落ちて割れてしまいましたが、新しいのをお作りしますか? 」

「眼鏡か……、あれは女避けに掛けていただけだからな。 認めたくないが…… 妻? がいるならもう必要ないだろ」

 寧ろ、この妻だと言う、白鳥を避けたいがな……。
 
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