離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
 帰国して直ぐに、ホテルへ向かう。

 社長室や、ホテル業務については、記憶の漏れはない。

 やはり、ここ2、3年の記憶だけがスッポリと、抜けている様だ。

 過度なストレスや、過労でも記憶喪失は起こると、医者が言っていたから、頭を打っただけが原因ではないのかも知れない。

 やはり仕事か。

 業績を上げるのは、やり甲斐があるし、楽しい。

 だが、自分で思っていたよりもオーバーワークだったのかもな。

 だが、こうして記憶喪失になっても、確認しなければならない仕事が山積みだろうと、仕事上では、さほど問題はなく、こなせてしまう。

 やはり仕事はストレスにはなってないな。

 と、すると……うん、絶対に、白鳥だな、アイツの行動は、俺の神経の過度なストレスの原因だ。

 とにかく、問題はプライベートだ。

 白鳥と何故結婚したのか、皆目見当がつかない。

 確かに、しつこいくらいに母に、勧められていたが、上手くかわしていた筈だが……。


 自宅マンションに帰れば、何か思い出すかも知れないと、久しぶりに帰宅した。


 車を運転して、自宅マンションにたどり着くと、我が家に帰って来た安心感からか、眠気が襲って来た。

 手早く、シャワー浴びてバスローブに着替えると、気怠るさが増して、そのままベットに横になった。

「?! 」

 腕に、フニッと柔らかい触感と、人肌を感じて、ビクリッと身体が跳ね上がった。

「キャアッーーーーッ?! 」
「うわっーーーーーっ?! 」

 人?!!

 暗くて良く見えないが、手探りで手早く相手の手首を掴み、ギリッと締め上げた。

「蓮…… 斗さんっ?! 」

 聞き覚えのない高い、女の声が俺の名を呼び、知り合いか?! と、眉を顰めたが、勝手に家に侵入するヤツに油断は出来ない。

 逃すまいと、更にキツく手首を捻る。

「痛っ……っ! 」

「ここで何してる?! 」

 怒りが湧いてきて、腹の底から声を絞り出した。





< 144 / 205 >

この作品をシェア

pagetop