離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
「…… 君は…… 誰だ? 」
白鳥の知り合いと言う事は、まさかアイツが何か手を回したのかもしれない。
訝しげに、彼女の顔色を伺う。
「えっと…… 貴方の…… 妻です…… か、ね? 」
…… 妻?!
彼女の言葉に、頭に目を見張り、息を呑む。
「多分…… まだ…… ? 」
彼女はウーン……っと首を傾げるが、いちいち、仕草が可愛くて、ドキドキと心臓が煩くなるから、やめてくれ!
…… どう言う事だ?!
どうなっている?!
頭に稲妻をくらった様な、衝撃を受けた。
…… 俺は、重婚しているのか?!
いや、まさか、彼女が嘘を吐いているのかも知れない。
だか、白鳥よりも、彼女が妻の方が断然良い。
「…… 妻とは、あれ……か、嫁? 奥さん? 家内? 」
半信半疑だったが、何度も聞き返すうちに、嬉しくなって来て、緩む口元を掌で隠す。
「…… そうですが…… 」
マジか……!!
「なんだこれは、ドッキリか?! 」
心の奥底からブワッっと、喜びと、照れてほんのりとピンクに頬を染めている彼女が、可愛いくて、キュンッと、心臓が跳ねる。
「離婚届なんですけど…… もう提出…… して頂いたんです、かね? 」
テンションの上がった俺は、一気に氷水を浴びさせられた様な、気分になった。