離婚するはずだったのに記憶喪失になって戻ってきた旦那が愛を囁き寵愛してきます
「ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン!!」

 けたたましくチャイムが鳴り、ドアの鍵を解除すると、バタバタッと足音が聞こえたかと思うと、勢いよくドアが開いた。

「お義母様と…… 、白鳥……さん……? 」

「ふーん…… ここが私と蓮斗さんが住む、新居になるのね。 これと、それは趣味が悪いから捨てて、新しいのを買って…… 」

 白鳥さんは、ジロジロと部屋の中を歩き回って、観察する。

「会社に行ったらシエナさん、早退したって言うから、やっと出て行くのかと期待して来てみたのに、荷物はまだ纏めてないのね。 これからかしら? 」

 お義母様も一緒になって、攻撃してくるので、ウンザリして、眉を少し顰めてしまう。

「何、ボサっとしてるの! お茶の一つも出てこないの、この家は? 」

「シエナさんは私達とは育ちが違いますから、子供の頃からマナーを習う訳じゃありませんもの、教養がないのは仕方ありませんよ」

 二人で、バカにした様に目配せをして、せせら笑う。

 二人の態度に、ムッとして、一刻も早く帰って欲しくて、私は口を開く。

「今日は、何か急ぎの用事でも……? 」

 妊娠の事はまだ話したくなくて、敢えて口にしない。

 つもりだったのに…… 。
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